レシピ開発や写真撮影において必要な食材を購入する際に私共はよく築地市場を利用します。
築地市場と言うとお魚の競りであったり美味しいお寿司屋さんのイメージがありますが、僕らのような食に関係する人間が商品を買いに行くことも可能で、鮮度の高い商品を購入するために撮影当日の朝に食材を買いに行きます。
いつものように食材を購入しに行った際、ふと「豊洲に移転したらどうなるのかな?」と思う事象がありまして確認してみると考慮漏れ(検討漏れ?)のような出来ことがありまして、豊洲市場の広報の方には強く再確認を依頼しましたが、果たして思いは届いたのでしょうか…。
非常に大きな懸念を抱いた部分でして、協会としても少しでも情報発信をしつつ、豊洲市場関係者には改善を急務としてお願いしたいところです。

※2018年10月12日追記※
豊洲市場オープン初日に実際に仕入れに行った記事を掲載しております。
記事:オープン初日に豊洲市場へ仕入に行きました

【築地で商品購入する2つのプロセス】
築地市場で商品を購入する際、場所は2つに大別されます。

・「築地場外市場」という一般的に「場外」と呼ばれるエリア(上記の地図の外側、地図上では右側)
・築地市場内部の仲卸さんから購入する「場内」と呼ばれるエリア(上記の地図の内側)
私共は商品を購入する際にはモノによってこの「場内」「場外」を使い分けていますが、今回懸念を抱いたのは「場内」で購入する上でのプロセスです。

【豊洲市場移転における懸念点:「築地にあって豊洲になくなる駐車スペース」】
築地市場で商品を購入する際は多くの商品を購入するので車で行く機会が多いのですが、実は築地市場の場合は市場の門の道路に車を停めることが合法的に許可されています。
道路標識を見ると「5−12 貨物の集配中の貨物車を除く」と記載があります。
つまり道路交通法的に門の前の道路に車を止めて築地で商品を購入して運んできたり、ターレと呼ばれる市場内の車両がで仲卸業者さんが車まで荷物を運んできたりする光景は法的に問題ないことから多用されております。(私共はいつもここに車を停めて商品を購入しに行きます)

豊洲市場移転における懸念点はこの「5−12 貨物の集配中の貨物車を除く」というエリアがなくなることなのです。

【豊洲市場における仕入れ業者向けの駐車スペースとは?】
私事で考えると「豊洲市場でどこに車を止めるんだろう?」というのは大きな疑問になってきました。そこでWEBを確認してみました。

1)豊洲市場のWEB・パンフレットを見ても情報は無い。

様々な課題が噴出したこともあり、WEBに多くの情報を盛り込んでいる中で優先順位が安全安心といったところなのでしょうか?
市場を利用するユーザーにとってまずWEBを見ても何もわからない所が残念なところです。
豊洲市場開場に向けて」というパンフレットがあるのですが、これは誰向けのパンフレットなのか、少なくとも商品を仕入れたい私のような立ち位置の人間にとって有益な情報は殆どありませんでした。

2)駐車場の文言を発見!!まさかの申請期限終了!?

豊洲のサイトには駐車場に対する言及は無かったのですが、東京都中央卸売市場のWEBページに記載を見つけました。
確認をしてみると「自動車登録が必要」とのこと。
そこには驚きの事実。

申請者が所属している場内団体もしくは各街区協議会(詳細は「4.各種申請書類の提出先(重要)」にて説明)に提出する期間 平成30年3月16日(金)まで

これは既に期限切れ。どこかで公表していたのでしょうか?どうもこの記事をアップしたのは2月26日だとか。毎日豊洲のサイトをチェックしていれば話は別ですが、これは驚きました。
これでは困るので豊洲卸売市場の広報へ電話をしてみました。

3)申請期限は延長している模様

広報へ確認してみたのですが、申請期限は延長して今でも受け付けているとのことでした。

4)私事で考えると不明瞭なことばかり。所属している場内団体とは?

このページを見ると全くわからないことばかりでしたので色々と確認をしてみました。まず
・申請者が所属している場内団体もしくは各街区協議会(詳細は「4.各種申請書類の提出先(重要)」にて説明)に提出する期間
と記載があるのですが私は場内団体にも各街区協議会にも所属しておりません。
この団体というのがそもそも何かを聞いてみるとWEBに記載がある通り、とのことでした。
WEBを見てみると

と記載があります。(出典:東京都中央卸売市場のWEBページ
私の場合はこの中で
(2)築地市場内の団体に所属していない場合に該当
するので「主に利用する街区の協議会等」へご提出ください。
になりますが、街区や協議会といった区分や団体は全く認識がありません。

WEBを見てみると

と記載があります。(出典:東京都中央卸売市場のWEBページ
もはやこの段階で不明点がいっぱいです。
豊洲の組織がどこにあるのかわからないのですが、豊洲の組織に申請を出すとか。誰が窓口でどこに居るのか?築地にあるのか、豊洲にあるのか、はたまた都庁なのか…。

5)「仲卸さんに資料を出してください」とのことですが…。(広報の方より)
私のように仕入れに訪れる人間はどうすれば良いのか?と端的に聞いてみると
「仲卸さんに申請資料を提出するようにしてほしい」とのことでした。
ただ、一度でも仲卸さんで商品を購入した経験がある方にはわかると思うのですが、日々目の前で勢い良く商品を販売されています。
我々仕入れ業者は仲卸さんと1対1の関係ではないし、仲卸さんは観光客の方も含めて膨大な取引をしているので、仲卸さんが駐車場の申請手続きをしてくれるなんてことは実現不可能な印象を直ぐに抱くと思います。
その点を広報の方に確認すると「実はまだ仲卸さんには伝えていない」とか。つまりこのプロセスは無いに等しいものなのです。
資料は提出した、しかし申請処理されていなかった、なんてことになったら大問題になります。

6)申請書類の記入例を見て更に驚く。これは実現可能か?
申請書類の記入例を見ると中々驚くことが見えてきます。
所属団体がない場合は取引先(つまり仲卸さん)の代表印を押してもらわなければならないとか。
正直そこまで深い付き合いではない1取引先にたいして代表印の捺印など仲卸さんがされるのでしょうか?私の場合取引先は決まっていないしその日に必要なものを市場を見て回って決めています。
そんな「薄い関係」なのに印鑑、それも代表印を貰うのは中々勇気のいることです。

7)そもそも申請は必要なのか?
この内容を見ていると「仕入れ業者は申請不要なのでは?」と思うくらいのハードルの高さなのですが
本当にこの資料の申請が無ければ使えないのか、色々とWEBを見てみると下記2つの資料があり、結論としては必須のように見えます。
1)東京都中央卸売市場豊洲市場自動車登録要領
こちらを確認すると
(自動車登録の義務及び規制)
第3条 市場内で自動車を使用する者は、この要領の定めるところにより登録申請し、 あらかじめ登録証の交付を受けなければならない。
(申請者の範囲等)
第4条 自動車の登録申請を行うことができる者は、次のいずれかに該当する者とす る。
一 卸売業者
二 仲卸業者
三 売買参加者
四 関連事業者
五 買出人
六 前各号に掲げる者のほか、市場施設使用者等、場長が認めた者
つまり該当します。
2)豊洲市場の自動車登録に係る FAQ
こちらを見ても申請が必要そうです。

8)中に入らずに近隣の駐車場で対応可能か?
申請プロセスが複雑怪奇なのでこの申請をせずに駐車場が利用できるか?を考えてみましたが一部報道を見ると駐車場は不足するとの懸念があるみたいです。
また、近隣に商業施設も出来ることから、この点仕入れというオペレーションには適さないのではと思っています。開場当初は渋滞などもあり、この点「仕入れする側」として考えると足回りの懸念は払拭できません。

9)東京都への提言事項1 告知の徹底
広報の方は「WEBに載せている」とお話をされていますが、それではとても不十分です。仕入れに来た方に対する告知であったり、仲卸さんのプロセスを活用するのであればそのオペレーションを徹底するべきです。

10)東京都への提言事項2 プロセスの検証
やはりプロセスに無理があるように思います。
確かに誰にでも駐車場の権利を配布するのは運営上難しい部分があると思いますが、もしハードルを上げるのであれば荷捌きスペースを準備するなどの工夫が必要かと。
日々の仕入れを行っている飲食店にとって仕入れが出来ないことは死活問題です。
その点を考慮し、現場にマッチしたプロセス整備に向けて検証を急ぎお願いいたします。

一般社団法人ジャパンフードクリエイティブ協会
代表理事
村田崇文