食品業界への就職! コンビニのおにぎりから業界の理解を深める(小売編)

お客様を訪問すると待合ロビーでフレッシュな就職活動中の学生さんを目にする機会がここのところ非常に多くなりました。私自身母校青山学院大学で在校生就職支援委員会のメンバーとして現役生に対する就職活動支援を行っていたり、在籍していたゼミ(青山学院大学総合文化政策学部井口典夫ゼミ)の OBOG会の会長として学生さんの就職活動支援を行なっているので心の中で「頑張って欲しいな」と思う気持ちと同時に「本当に自分のやりたいことと企業がマッチしているのだろう?」という疑問の両方を持ち合わせて見守っています。

協会では非常に多くの食品企業様とお取引をさせて頂いており、自分自身の今までの就職活動支援の視点と食品業界に特化した部分での視点で各種情報を共有させて頂きたいと思います。少しでも多くの方が食品業界を志し、そして自分自身の思いと企業の思いがマッチし、より日本の食を活性化する仲間が多く増えることを期待しています。

食品業界とは?
食品業界と一言で言っても様々な切り口・視点があるので捉え方は千差万別です。母校の就職セミナーで講師を務めた際に学生さんに質問すると様々な回答が出てきました。外食、小売店、食品メーカー、農家、漁師、調理人、宅配、管理栄養士、シェフ、ネットなどなど。確かに全て食品業界でもありますがこれで全て網羅できているのか?というと非常に曖昧な部分が残ります。
大学生協で非常に人気の高い書籍に「就職四季報」には様々な企業が掲載されているので、多くの学生さんに私は熟読をオススメしています。

掲載されている企業数は1293社、分類として「マスコミ」「コンサルティング・シンクタンク」「情報・通信・同関連ソフト」「商社・卸売業」「金融」「メーカー(電気・自動車・機械)」「メーカー(素材・身の回り品)」「建設・不動産」「エネルギー」「小売」「サービス」となっていまして、様々な業界を網羅しているので、食品という切り口ではもう一歩突っ込んだ考察と見え方が必要です。
今回は「就職四季報」を使いながら食品業界を深掘りしてみましょう。(お手元に準備して記事を読んでもらえると理解が深まります)

【まずはじめに〜食品業界の相関図】
食品業界の構造を理解することからはじめましょう。

出典:一般社団法人ジャパンフードクリエイティブ協会作成

この図を見て頂ければ非常に構造自体はシンプルなのですが、食品業界はCMでよく目にしたり、日頃から接する商品であるだけにそのイメージが先行しています
その結果として就職活動を行っていても実際のイメージと企業活動との間にギャップがあり、間違った意識で就職活動をに臨んでしまったり、仮に内定を得て就職しても自分のイメージと違った、という方を多数目にします。
ですので、まずは構造を理解し、その次に各業界の特徴を掴み、そこから自分のイメージと合わせたり深掘りってマッチした就職活動を行ってもらえれば幸いです。

【1】相関図にコンビニのおにぎりを当てはめて理解してみる。

消費者の立ち位置でコンビニのおにぎりを手にとり、そこから遡って業界理解をしてみましょう。


小売業界とはおにぎりを買う場所、つまりコンビニは小売業界

このあたりはご存知かもしれませんが、コンビニをはじめとした商品を販売している業界のことを小売業界と言います。スーパーや百貨店といった「対面で商品を販売・購入するチャネル(場所)」を一般的に小売業界と呼んでいます。その昔は小売業界というものは仕入れた商品を販売する場でしたが、最近ではPB(プライベートブランド)と呼ばれるような小売業界が企画する商品というものも増えており、コンビニのおにぎりの大半はコンビニ企画の商品です。
ですので「ローソンのおにぎり・ファミリーマートのおにぎり・セブンイレブンのおにぎり」というものは同じものは無いと思います。(似ているものは沢山ありますが)

ここでお気付きの方も多いかもしれませんが、小売の役割といものは以前と比べて大きく変化しています。以前は「仕入れた商品を販売する場」だったものが、「商品を企画して販売する場」になったのです。つまり、コンビニのおにぎりもコンビニの商品選定の部門やマーケティング部門が企画し、商品化を進めるのです。

なぜ小売は「仕入れた商品を販売する場」から「商品を企画して販売する場」になったのか?

この答えは明確です。
POSシステム(POS system, point of sales system)と業界では呼ばれているものを小売は持っているからです。業界用語で言うと難しい表現ですが、端的に言えば「レジ」です。
コンビニでアルバイトされたご経験のある方はご存知かもしれませんが、レジには「年齢・性別」などを選択できる機能がついています。
この情報に加えて来店時間、一緒に買っていく商品の組み合わせといったデータを分析すると消費者の動向が見えてくるのです。コンビニはチェーンなので全国に同一の仕組みを入れることから集計するサンプルの数も多く、この情報を元に商品を企画するようになりました。最近はAIやビッグデータといった言葉がITの世界では流行っていますが、このPOSデータというものはビッグデータの先駆けなのかもしれません。

企画した商品を作るのは誰か?(おにぎりは誰が作るのか?)
コンビニをはじめとした小売が企画した商品を誰が作るのか?コンビニや小売各社が工場を持っている訳ではなく、「おにぎりメーカー」が作るのです。
おにぎりメーカーってなんだ?と思う方が大半かと思いますが、言葉の通り、「コンビニ用のおにぎりを作る製造業者」になります。業界用語では「ベンダー」と呼ばれています。
こういった製造業者は表に出てくるプレーヤーでは無いのですが、業界規模としては非常に大きなものです。
「具体的な企業名を教えてください」と聞かれることがあるのですが、沢山あり過ぎるので網羅的にお伝えするのは難しいのですが、一番簡単な把握方法は「コンビニのおにぎりの裏面を見る」です。
日本では製造元を表記する必要があるので、必ず書いてあります。ですので、近所のコンビニへ行き、そこから企業名を洗い出してみてください。
今まで知らなかった企業名が沢山出てくると思います。ただ大事なのは「おにぎりメーカーはおにぎりを作るプレーヤーであって、原材料を作っている訳では無い」のです。
では誰が原材料を作っているのでしょうか?

おにぎりの原材料はどこからくるのか?
おにぎりの原材料はその具材であったりお米であったり様々です。正直この原材料のメーカーを探り当てるのは就職活動の視点では難しいところです。
その理由として「どの食品製造業者も提案・参入・取引したい部分、つまり全企業が対象」なのです。

皆さんがご存知の食品メーカーというものは家庭用を狙って販売促進のために多額の広告宣伝費をかけています。
それだけの広告予算をかけても本当に売れるかどうかは分からない、売れなかった場合は在庫の山になり、売れたとしてもそもそも商品販売単価の小さな食品においては相当な販売をしなければ利益には繋がらない部分なので、本音のところは「広告宣伝を最小にして、商品を一括買取してもらえるところに一括納品で売りたい」というところです。
そのような本音を叶えるところは店頭小売ではなく「原料供給」なのです。
(そのために協会のレシピ開発サービスをご利用されるメーカー様が多いのです)

ここで疑問。卸売は何をしているのか?

先ほどオニギリの商品企画は小売からベンダーという流れで卸売をスルーしましたが、卸売は「需給調整」という部分を担っています。
小売が「仕入れた商品を販売する場」だった際には全国から商品を集めてその商品を小売が必要とするタイミングに届ける需要と供給の調整(需給調整)を担っていましたが、小売がPOSデータを元に「商品を企画して販売する場」となり、物流業界が24時間体制で全国どこでも物納できるようになると「卸売の役割は何か?」と問われることが多くなりました。
就職四季報を読んで頂くと食品卸売が総合商社の傘下となっていたり構造改革が進んでいます。
また、「卸売」の機能から「提案型営業」「自主企画商品開発」を強化している部分もありますので、是非就職活動時には卸売各社も回ってみて、お話を聞いてみてください。変革真っ只中の業界なので、直接お話を聞くのが一番早いと思います。
(中食・外食の世界ではまだまだ卸売が担う役割は大きいです。)
次は外食編です。

【代表理事プロフィール】
一般社団法人ジャパンフードクリエイティブ協会
代表理事 村田 崇文
株式会社Paysanne代表取締役
2005年青山学院大学経営学部卒業後、外資系総合コンサルティング企業であるアクセンチュア(accenture)株式会社入社。業務改革や新規事業の立ち上げ、IT基盤構築など様々なプロジェクトに従事。
2009年株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。EC事業の統括を手掛ける中で食の事業の面白さに魅了され2010年に株式会社Paysanneを設立、現代代表取締役。
食のクリエイティブアウトソーシング事業を中心に年間4500件を超えるオリジナルレシピ開発を提供するサービス”Recipe Maker“をはじめとしたクリエイティブ提供サービスを展開。
蓄積したノウハウを発信する組織体として一般社団法人ジャパンフードクリエイティブ協会を設立し、「日本の食卓を世界の食卓へ、世界の食卓を日本の食卓へ」を理念に事業を推進している。
その他、大学在学時の”渋谷のまちづくり”研究を現在も手掛け渋谷青山景観整備機構の理事も務める。