まずお米選びから~どこから仕入れるか~

前回はお米の炊き方の留意点をご紹介させて頂きましたが、今回はお米をご購入される際のポイント~「どこから仕入れるか」編です。

ほとんどのお店では米屋や食材卸といった業者にお米を届けてもらっていると思います。
まずお店の方針として、どこまでお米に重きを置くか?により業者へのアプローチが変わってきます。

とにかく安ければいいといった「価格最重要視」の場合は食材卸が持参する商品リストをご覧頂いたり、業務用スーパーを活用される方がいいでしょう。
安いだけでは無く、「美味しいお米を適切な価格で」とお考えになるお店の場合は、米屋の方が品揃えが豊富でかつ色々とアドバイスが出来るので、是非うまくご活用頂きたいです。
今回は「美味しいお米を米屋から仕入れる際の留意点」を深掘ります。

①米屋と話をする前にまずは「美味しい」を漠然とイメージしましょう
米屋と話す前に、「美味しい」がいったいどの程度のレベルを指すのか、その点を漠然とで良いので米屋に示すことが大切です。
これは後にお米を選ぶ際にご自身のお店の業態・席数・客単価などを総合勘案し「ここまでの味でここまでの値段であれば採用できる」というラインになるからです。

②米屋の保有する商品リスト(価格表付き)を確認しましょう
店舗様のご要望を受け止めて実現化させるためには、お米の特性のみならず、店舗の運営形態、メニューなどを理解していないと提案が出来ません。

その上で店舗様のご要望にお応えするにはお米の種類が7品種位では心許ない部分でして、
経験上下記のようなマトリックスに対応出来るよう、15パターンのお米のラインナップを保持していることが最低でも必要と考えています。

加えて、用途を明確にした品種(もち米、カレー用・寿司用など)のお米を併せれば全部で20種類以上提案出来るようなアイテムを持っていることが米屋として望ましいと考えています。

それくらい揃えていれば、その米屋は引き出しが多く、予算面・品種面で色々なお米の提案が可能ですので、突っ込んだ相談が可能です。

また、予めお米の価格表が備わっていて店舗側に提示してくれることも大事なポイントです。

③米屋にサンプルを依頼しましょう
ライン上にどのお米が当てはまるのかを確かめるために、米屋から「サンプル」をもらいます。この際に確認して欲しいのは「米屋のヒアリング力」です。

お米の種類は500種類以上あります。
「お寿司に向いているお米」「丼物に向いているお米」「ランチ用の白米・夜用のお寿司どちらでも使えるお米」など、その用途に応じてお米も変わってきます。

「どのような料理を出されているのか?」
「お米に対する重視度はどれくらいか?」
「予算はどれくらいか?」
「産地は気にするか?」
など私であれば様々なヒアリングをさせて頂き、その要望にマッチしたお米をご提案させていただくようにしております。
店側にヒアリングも行わずに、自分たちの売りたいお米だけを持参するような米屋ですとお付き合いするのが少々難しいかもしれません。

④サンプル取り寄せは3種類が目安
サンプル取り寄せは、1回に炊飯する量分、1種類につき2パックは取り寄せてみましょう。
サンプルは3種類くらいがいいいでしょう。
店側としても忙しい中、たくさんのお米をもらっても試す時間は無いと思います。逆を言えばその3種類に絞るまでが米屋の腕の見せ所になります。

それまでのヒアリングを経て持ってくる3種類からぴったりなお米を選ぶことができれば、ある意味、店側の要望を分かってくれている、かゆいと事に手が届く「できる米屋」だと思います。

そういった米屋であればお米をレベルアップしたい、違う料理にも使いたい、炊き方を教えて欲しい、保存方法を教えて欲しい、といった様々なご要望があっても適切に回答できるでしょう。

「お米の海」から時間をかけずに適切なお米に出会うために、お米に詳しい米屋を「船頭」として是非、ご活用下さい。

【よくある質問】産直か?米屋か?
「農家の顔をお客様にアピールしたい」「高くてもいいので『コンクールで優勝したお米』が欲しい」等を訴求ポイントにしたお店ではお米の仕入れを農家にお願いするケースもあると思います。コンセプトにマッチしている場合、この仕入れルートは非常に有効です。

その一方で、ただ漠然と「産直」をご検討されている店舗様は下記の点をご留意する必要があります。

①納品単位は店のスペースとマッチしているか?
農家から直接宅配便等で届けてもらう場合、30㎏で発送されることが一般的ですので、店内の保存場所を検討する必要があります。場所に余裕がない場合は、米屋の方が少量ずつ届けてくれるので良いでしょう。

②発注から納品までのリードタイムは店のオペレーションとマッチしているか?
農家の場合は発注から実際に届くまでのサイトが長いことが想定されます。お米が少ないことに気づいて発注しても、届くのは3日後、4日後…というのはよくある話なので、発注タイミングと納品までのリードタイムは良く確認をしてみてください。注文して翌日、場合によっては当日に届くのは、米屋のフットワークに起因しています。

③お店で使えるようなお米の選択肢はあるか?
産直の場合は選べるお米の選択肢についても留意が必要です。

お店のコンセプト、お米に対するスタンス等を勘案されて、どういったところから仕入れるのか、ご検討されることが最初の一歩のなりますので、ぜひしっかりご検討頂き、サンプルを取り寄せながら米屋とコミュニケーションを取ってみてください。

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【講師の紹介】
一般社団法人ジャパンフードクリエイティブ協会
お米スペシャリスト 小池 理雄(こいけ ただお)
1971年東京・原宿生まれ。渋谷区神宮前育ち。小学校時代から家業である小池精米店の手伝いをしながら育つ。
明治大学卒業後、出版社に入社し編集者として勤務。その後、社会保険労務士の資格を取得し、人事制度コンサルティングファームに入社。
2006年、小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。渋谷・原宿地域で唯一の「五ツ星お米マイスター」